幹線道路を抜け、高原へ向かう曲がりくねった木立の道を、
一台の車が静かに走っていた。
車には家族が四人。両親と十七歳、十三歳の姉妹。
そして、今日無事に告別式を終えた祖母の遺骨があった。
助手席の妻は携帯電話を取り出し、
祖母の屋敷を守る家政婦に連絡を入れる。
「もうすぐ着きます」
後部座席では姉妹が白い覆い袋の中の骨箱に向かって話しかけていた。
「おばあちゃん、もうすぐお家だよ」
父は何も言わず、遺骨をそっと抱いていた。
やがて鮮やかな緑の森が途切れ、
その先に立派な洋館が姿を現した。祖母が晩年を過ごした屋敷だった。
車が玄関前に停まると、長年仕えてきた家政婦が深々と頭を下げた。
「お帰りなさいませ」
その言葉は、生者に向けたものなのか、
それとも亡き主人に向けたものなのか、誰にも分からなかった。
家族は祖母の部屋へ通された。
桐箱に納められた遺骨と供花を棚の上に安置し、
しばらく静かに手を合わせる。
部屋は不思議な空間だった。畳敷きの床にモダンなソファが置かれ、
アンティークの照明と西洋家具が違和感なく調和している。
和と洋が自然に溶け合い、どこか異国の邸宅を思わせる洗練された空気が漂っていた。
「本当におしゃれな人だったな」 夫が部屋を見回しながら言った。
「持ち物の整理も大変そうね」 妻が苦笑する。
(二部に続く)

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